歴史的な建築が残る、
美しい街の風景。
ベルギー北西部、西フランドル(フランダース)地方にあるコルトレイクは、人口約75,000人の小さな街です。12世紀に自治都市となり、その後、繊維産業の街として発展しました。
市街には歴史的な建築も多く残っていて、ゴシック様式の市庁舎や、世界遺産にもなっているグロートマルクト広場の鐘楼、ベギン女子修道院などに訪れると、当時の趣きを感じることができます。
リネンの魅力を五感で体験できる、
リネンミュージアム「テクスチュール」。
コルトレイク市の中心部にはレイエ川が流れていて、リネン産業に欠かせない役割を担ってきました。このレイエ川沿いに、リネンミュージアム「テクスチュール」がオープンしたのは2014年のこと。1982年に「ヴラスミュージアム」として公開された施設が、リネンにまつわるストーリーを五感で体感できる博物館へとリニューアルしました。
正面入り口の前にはリネンの原料であるフラックスをイメージした植物が植えられていて、フラックス畑にいるような感覚を体験できます。そして館内に入ると、フラックスの植生がわかる資料やリネン製品ができるまでの工程、コルトレイクにおけるリネン産業の歴史などが展示されています。
フラックスの繊維に触れることで、リネンを身近に感じることができますし、機械化される前に使われていた木製器具の実物展示や、当時の人々が働く姿を写した写真からは、リネン産業の時代の流れを学ぶことができます。また、リネンを使ったレース作品や、現在作られているさまざまなリネン製品も展示されていて、デザインの視点からもリネンの魅力を楽しむことができます。
蝋人形による展示があった、
前身の「ヴラスミュージアム」。
「テクスチュール」の前身である「ヴラスミュージアム」では、リネンの歴史家であるベール・デヴェルデが18年の歳月を費やして集めた、年代もののフラックス栽培の道具や衣類、書籍、生活雑貨などが展示されていました。フラックスを栽培してリネンの糸にするまでの全行程を、蝋人形を配置しながらシーンごとに詳しく解説しているのが特徴でした。例えば、大きな櫛を使ってフラックスの種をとる作業シーン、収穫したフラックスを紡いで糸にする作業シーンというように。糸にする作業は、冬の間、主に女性によって行われていたことなども伝わってきます。リニューアルとともに蝋人形の展示は終わってしまいましたが、こちらも当時のことを知るうえで素晴らしい展示でした。
レイエ川沿いには14世紀に建てられた2棟のブローエル塔が建っていて、街のシンボルになっていますが、「テクスチュール」もまた、リネンの街、コルトレイクのシンボルになっていくことでしょう。
「テクスチュール/フラックス産業とレイエ川ミュージアム」
Address:Noordstraat 28 / 8500 Kortrijk
Tel :+32(0)56277470
http://www.texturekortrijk.be